タイル剥落は、見た目だけでなく建物の安全性にも関わる重要な問題です。近年、老朽化した建物やメンテナンス不足により、タイルが落下して事故につながるケースも報告されています。
本記事では、「タイル剥落」とは何か、なぜ起こるのか、どんなリスクがあるのかをわかりやすく解説します。さらに、日常でできる予防方法や、専門的な点検・補修方法についても紹介します。
大切な建物を長く安全に使うために、タイル剥落の知識を身につけましょう。
タイル剥落とは?基本的な意味と起こる仕組み
この章では、「タイル剥落」とは何か、その現象がなぜ起こるのかについて解説します。
タイル剥落とはタイルが壁や床からはがれ落ちること
タイル剥落とは、建物の壁や床に貼られたタイルが、接着面からはがれ落ちる現象を指します。
タイルがしっかり接着されていないと、重力や外部からの刺激によって徐々にずれていき、最終的に落下します。
とくに外壁や高所のタイル剥落は、落下時に人や物に被害を与える危険性があります。
そのため、早期の発見と対応がとても重要です。
接着剤やモルタルの劣化が主な原因になる
タイルを貼り付けるために使われる接着剤やモルタルは、時間の経過とともに劣化します。
紫外線、雨風、温度差などの影響を受け、接着力が弱まっていきます。
接着力が低下すると、タイルと下地の間に隙間ができて剥離の原因になります。
劣化は目に見えない部分で進行するため、注意が必要です。
水分や温度変化が内部にダメージを与える
タイルのすき間から水分が侵入し、内部にとどまることで接着面にダメージが及びます。
さらに、季節の温度変化で膨張・収縮を繰り返すと、内部の圧力が高まりタイルが浮いてきます。
こうした小さな変化が積み重なることで、タイルが落下しやすくなります。
建物の立地や気候によってリスクは異なるため、地域に合った対策が必要です。
タイル剥落の原因として多いケースとは?
この章では、タイル剥落が起きやすくなる具体的な原因を紹介します。
施工不良が原因
タイルの貼り付け作業が正しく行われていない場合、剥落のリスクが高くなります。
接着剤の塗りムラや、不十分な圧着などが原因です。
下地の処理が雑だった場合も、後々剥がれやすくなります。
新築の段階で丁寧に施工されているかどうかが重要です。
経年劣化で接着力が弱まる
築年数が10年、20年と経過すると、材料が劣化していきます。
とくに接着剤や目地の部分が劣化することで、タイルが安定しなくなります。
年数が経った建物ほど定期的な点検が必要です。
目に見えるひび割れがなくても、内部で劣化が進んでいることがあります。
地震や振動の影響で剥がれることがある
地震などの揺れは、タイルの接着面に強い負荷をかけます。
一度ゆるんだタイルは、その後の小さな振動でも浮いてきやすくなります。
また、建物の近くで工事が行われた場合の振動にも注意が必要です。
タイルが剥がれる前に予兆を見逃さないことが大切です。
水分の侵入で接着剤が弱くなる
水は接着剤の大敵です。
雨水が目地やヒビから侵入し、内部の接着剤を劣化させます。
とくに外壁やバルコニーなどは雨にさらされやすく、リスクが高まります。
防水対策をしっかり行うことで、タイルの剥落を防げます。
タイル剥落を引き起こす環境や建物の特徴
この章では、タイル剥落が起きやすい環境や建物の特徴について紹介します。
築年数が古い建物に多い
築20年以上の建物では、タイルの接着力が落ちているケースが多く見られます。
古い建物ほど、使われている材料も劣化が進んでいます。
また、古い施工基準では現在ほど厳密な品質管理がされていないこともあります。
築年数の経った物件では、定期点検を欠かさないようにしましょう。
外壁にタイルを使っている建物は影響を受けやすい
外壁タイルは常に日光や風雨にさらされています。
そのため、屋内のタイルよりも劣化が早く進みます。
日当たりや風当たりの強い場所は特に注意が必要です。
外壁にタイルを使用している建物では、タイル剥落のリスクを意識して管理しましょう。
海沿いや豪雪地帯などの過酷な環境で起こりやすい
海沿いの建物は、塩分を含んだ風によってタイルの接着剤が劣化しやすくなります。
また、豪雪地帯では雪による水分や凍結がタイルにダメージを与えます。
気象条件が厳しい地域では、よりこまめな点検と対策が必要です。
地域ごとの特徴に応じた対策を取りましょう。
高層ビルでは風圧や温度差の影響が強くなる
高層建築では、風による圧力や寒暖差が特に激しくなります。
そのため、接着面に大きな負荷がかかり、タイルが浮いてしまうリスクが高まります。
ビルの高さがあるほど、より強固な接着技術と点検が求められます。
高層建築では専門業者による定期的な点検が不可欠です。
タイル剥落の前兆となる劣化サインの見分け方
この章では、タイル剥落の前に見られる「劣化サイン」を紹介します。日常の中で気づけるポイントを押さえておきましょう。
タイルに浮きや膨らみがある
タイルが少しでも浮いているように見える場合は、接着力が弱くなっている証拠です。
とくに、タイルの一部が他よりも少し盛り上がって見える場合は注意が必要です。
浮きや膨らみは、剥落の前兆となる最もわかりやすいサインの一つです。
見つけた場合は、専門業者に相談して確認してもらいましょう。
目地にひび割れや欠けがある
タイルとタイルの間の目地は、劣化するとヒビが入ったり欠けたりします。
この状態になると、そこから水が侵入して内部にダメージを与えます。
目地のひび割れは、建物内部の構造にも影響するため放置は厳禁です。
定期的にチェックし、小さな異常にも早く気づくことが重要です。
タイルを軽くたたくと中が空洞のような音がする
タイルを軽くたたいたとき、ポコポコと空洞のような音がした場合は「浮き」が発生しているサインです。
この音が出る部分は接着がうまくされておらず、剥がれやすくなっています。
専門業者は「打診検査」という方法で、この浮きを確認します。
気になる箇所がある場合は、無理に触らず専門の調査を依頼しましょう。
表面にシミや変色が見られる
タイル表面にシミや変色がある場合、水が内部に染み込んでいる可能性があります。
これは、防水機能や接着剤の劣化が進んでいる証拠です。
とくにタイルの下地材にカビや腐食が起きていることもあるため注意が必要です。
見た目の変化がある場合は、放置せずに早めの確認が大切です。
タイル剥落による事故や被害の具体的なリスクとは?
タイル剥落は見た目の問題だけでなく、実際に大きな事故やトラブルを引き起こす原因になります。
通行人にタイルが落下してケガをさせるリスクがある
タイルが落下して人に当たると、大けがや命にかかわる事故になることもあります。
とくに歩道に面した建物や、商業施設などはリスクが高くなります。
こうした事故は、建物の所有者に責任が問われる場合があります。
安全対策と早期対応が非常に重要です。
落下したタイルが車や建物を壊す可能性がある
人だけでなく、近くに停めてある車や自転車にタイルが当たるケースもあります。
また、周囲の建物のガラスや外壁を破損させることもあります。
物損事故は損害賠償につながるため、事前の予防策が求められます。
定期的な点検と補修で、リスクを最小限に抑えましょう。
所有者が損害賠償責任を問われる可能性がある
タイル剥落で第三者に損害が出た場合、建物の管理責任を負う所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
民法上の「工作物責任」に該当するため、事前に予防措置を取っていないと法的責任を負うことになります。
これは個人所有でも法人所有でも同じです。
事故を未然に防ぐことが、最良のリスク管理になります。
建物の資産価値が下がる原因になる
タイルが剥がれていたり、補修がされていなかったりすると、建物の見た目が悪くなります。
見た目の印象は、不動産の価値にも大きく影響します。
購入希望者や入居者からの印象が悪くなると、空室リスクや価格の下落につながる可能性があります。
資産価値を守るためにも、タイルの維持管理は重要です。
タイル剥落を防ぐためにできる日常的な対策
タイル剥落は、日常的なちょっとした観察や意識によって防げることも多くあります。
日ごろから外壁や床の様子を観察する
普段の生活の中で、建物の外壁や床に異常がないか観察することが第一歩です。
タイルにヒビが入っていないか、浮いている部分がないかをチェックしましょう。
日々の小さな変化に早く気づくことで、大きな事故を防げます。
特別な知識がなくても、気づけるポイントは多くあります。
タイルの浮きや目地のひび割れに気づいたら早めに対応する
常を見つけた場合は、早めに専門業者に連絡して確認してもらいましょう。
放置していると劣化が進み、補修費用も高額になります。
早期対応は費用を抑え、安全を確保するうえでも重要です。
「少し気になるな」と思った段階で行動することが大切です。
防水処理を行い水の侵入を防ぐ
外壁に使われるタイルは、定期的に防水処理を施すことで水分の侵入を防げます。
目地材に防水性能を持たせたり、コーティング剤を塗布することで効果が期待できます。
水の侵入を防ぐことは、タイル剥落対策の基本です。
専門業者に相談し、建物に合った防水処理を検討しましょう。
無理な衝撃や振動を与えないようにする
壁に重いものをぶつけたり、大きな音や振動を頻繁に与えたりすると、タイルに負担がかかります。
たとえば、大型家具の移動や外壁清掃の際には慎重に行うようにしましょう。
日常の行動にもタイルへの配慮を取り入れることで、剥落リスクを下げることができます。
ちょっとした注意で建物の寿命を延ばすことが可能です。
タイル剥落の予防に効果的な点検とメンテナンス方法
プロによる定期的な点検とメンテナンスは、タイル剥落を防ぐうえでとても効果的です。
専門業者による打診検査を定期的に受ける
打診検査とは、ハンマーなどでタイルを軽くたたき、音で浮きの有無を確認する方法です。
専門の知識を持った業者が行うことで、目に見えないリスクも見つけられます。
マンションやビルなどの大型建物では、定期的な検査を行うことが法律で義務づけられている場合もあります。
費用対効果も高いため、ぜひ取り入れましょう。
高所のタイルは赤外線調査を活用する
赤外線調査は、高所など手の届かない部分のタイルの劣化状態を非接触で調査する方法です。
熱の反射の違いから、タイルの浮きや剥がれを見つけることができます。
足場を組まずに点検できるため、コストと安全性の面でメリットがあります。
高層ビルや大規模施設では特に有効な方法です。
劣化した目地や接着剤は早めに補修する
点検の結果、劣化が見つかった場合は早めに補修を行いましょう。
目地の打ち直しや、接着剤の再塗布などを行うことで、タイルの落下リスクを大きく減らせます。
小さな補修をこまめに行うことが、大きな事故の防止につながります。
補修には専門技術が必要なので、信頼できる業者に依頼しましょう。
国土交通省推奨の「外壁定期点検制度」を活用する
国土交通省では、建築物の安全を確保するために「外壁定期点検制度」を推奨しています。
特定の条件を満たす建物では、10年ごとの外壁調査が義務化されています。
制度を活用することで、専門的かつ法的に適正な点検が受けられます。
安全で長寿命な建物づくりには欠かせない取り組みです。
まとめ|タイル剥落の原因・劣化サイン・予防対策を知って建物を守ろう
タイル剥落は、建物の安全性や美観、資産価値に大きな影響を与える重大なトラブルです。
日々の観察や早期対応、そして定期的な点検によって多くの問題を未然に防ぐことができます。
この記事で紹介した内容を参考にして、ぜひ大切な建物を守る行動を始めましょう。
不安な点がある場合は、専門業者への相談をためらわず行うことが重要です。
「気づいたときが対策のチャンス」です。
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